
「建売住宅」とは、既に完成済み、または完成予定の土地とセットになった住宅のことを言い、中でもまとまった土地を分割して建てられる住宅を分譲住宅と言います。反対に「注文住宅」とは、所有する土地や購入予定の土地に自由な設計で一から建てる住宅のことをと言い、注文住宅は自由に設計できる分、建売住宅に比べて購入価格は割高になります。
実際に全国の建売住宅と注文住宅の割合は「建売住宅:17,001件」「注文住宅:11,792件」(※)と、建売住宅が多くなっていますが、これは建売住宅の方が安くてお得だからなのでしょうか?
(※受託支援機構による住宅ローンのフラット35を利用した人を対象にした平成30年度調査より)
実は地域によって差が大きく、注文住宅の割合は地価の高い東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県といった首都圏では20%程度ですが、地方では80%以上となっています。(島根県では100%です。)
ここでは、注文住宅と建売住宅の価格差や違い、それぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。
注文住宅の特徴
注文住宅のメリット
注文住宅の最大のメリットは、やはり法律面、技術面が許す限り自由な設計で住宅が建てられるということでしょう。
こだわりがあり、屋根や壁、ドア、窓といった外観や間取り、壁紙、お風呂やキッチンなどの設備に至るまで時間をかけて細かく一から決めたい人は、フルオーダーで注文住宅を建てることが可能です。
建売住宅では当たり前のように付いている設備をカットして無駄なコストを抑えて、憧れていたデザインや間取り、内装を再現したり、防音性の高い地下室や趣味の部屋を設けたり、必要な箇所に集中してコストをかけることができます。生活スタイルや好みに合ったあなただけの住宅が建てられるため満足感もかなり高くなるでしょう。
また、土地選びの自由度も高いため、建売住宅にはないロケーションの土地に家を建てることも可能です。
一方で、こだわりはあるけどそんなに時間はかけたくない、細かい部分まで全てを自分で決めるのは大変そうという方には、ある程度の選択肢の中から決めていくセミオーダーという注文方法もあります。セミオーダーであればフルオーダーに比べてコストも安く抑えられます。
建売住宅に標準装備されている、最新の設備では「どのような気持ちで暮らしたいのか」という「感情やその家族らしさ」は決まった間取りや設備では解消できないことが多いです。
注文住宅で重要視されるのは「家族がどんな気持ちで暮らすことが本当の幸せなのか」を建築士とともに時間をかけて考えながら家づくりができるという点は、注文住宅ならではの家づくりと言えます。
<メリット>
- 自由な設計で建てられる
- 工事をチェックできる
- 不要なものをカットできる
注文住宅のデメリット
注文住宅のデメリットは、セミオーダーであっても建売住宅と比べると割高になります。具体的にどれくらいの価格差になるかは後述します。
また、土地選びから住宅の外観、内装のデザイン、間取り、材質、設備に至るまで全てを決めて、着工から完成まで最短で半年、最長で15ヶ月程度かかります。人によってはこだわりが強すぎて、なかなか決められずにストレスを感じることもあるでしょう。
土地選びは自分の好きな場所に住むことができてメリットに感じる人もいますが、好立地でリーズナブルな土地は、建売専門の建築会社に、独自のネットワークで市場に出回る前に購入されてしまうため、満足のいく土地がなかなか見つからないということもあり、スケジュールが遅れるとデメリットに感じる人もいるでしょう。
また、住宅ローンは通常は完成している住宅にしか利用できないため、注文住宅の場合は「つなぎ融資」や「土地先行融資」を利用することになりますが、資金計画が複雑で手続きも面倒です。
着工前の注文住宅でもつなぎ融資不要で融資が受けられる金融機関もありますが、登記費用や司法書士費用が高くなったり、住宅完成前から返済が開始される場合もあります。
また「つなぎ融資」のような短期間のローンは住宅ローンに比べて少し金利が高く(1~2%)なることが一般的ですが、
契約内容によっては利息免除などの特典が設けられる場合もあります。
(※参考:スマイルすまいつなぎ融資が不要な住宅ローンとは?)
<デメリット>
- コストが高くなる
- 完成まで時間がかかる
- 資金計画が複雑になる
建売住宅の特徴
建売住宅のメリット
建売住宅は、プランの規定化で施工をシンプルにでき、手間がかからず人件費も安く抑えられ、材料もまとめ購入ができるため、注文住宅に比べると価格を安くできます。
(※ただし、網戸やシャッター、カーテンレール、エアコン、テレビアンテナ、照明器具など、注文住宅では含まれている設備でも、建売住宅ではオプション(別料金)となっていることが一般的なので注意して下さい。)
また、購入前に実際に住宅を内覧できるためイメージが付きやすく、購入を決めたらすぐに入居ができるのも大きなメリットです。
<メリット>
- 注文住宅と比べると安い
- すぐに入居できる
- 購入前に内覧できる
建売住宅のデメリット
建売住宅は注文住宅のような自由度がないため、こだわりが強い人はなかなか物件を決められないこともあるでしょう。
また、これは人によってはデメリットではないかもしれませんが、建売住宅は多くの人に好まれる万人受けするデザインや間取りで建てられるため、似たようなデザインが多く、個性がないのも特徴です。
建売住宅の場合、工事中の過程がチェックできないため、手抜き工事が起きやすいというデメリットもあります。
建売大工の給料は「一軒につきいくら」という体系のため、工事期間を短縮するようになるのも手抜き工事が起きやすくなる原因の一つです。
既に建てられた状態で売られる建売住宅は、土地の状態が確認しづらいため、地盤保証加入済の建築会社を選ぶことも重要です。着工前に地盤保証会社が地盤調査を実施、地盤に応じた基礎の提案や必要に応じて地盤改良工事の提案などが行われ、基礎や補強工事が実施されるとによって、建築会社が地盤保証を受けることができます。
また、建売住宅は売れるまで色々な人が内覧に訪れます。間取りや設備などが多くに人に知られてしまうため、セキュリティ面で心配に感じる人もいます。
<デメリット>
- 自由度が低い
- 似た家が多く個性がない
- 手抜き工事が起き易い
- 土地の状態が確認しづらい
売建住宅とは
建売住宅には「売建住宅」という方式もあります。
土地と住宅をセットで販売するのは建売住宅と変わりませんが、売建住宅の場合は土地(「建築条件付き土地」と言います)を選んでから決められた施工会社に着工してもらいます。つまり、購入を決めた時点では着工前で土地しかないため住宅の内覧ができません。
ただし決められた規格の範囲内ではありますが、設計プランを複数パターンから選べるため多少自由度があるというメリットもあります。
寿命の違い
住宅の寿命の違いは構造(木造や鉄骨など)やメンテナンスによるものなので、注文住宅か建売住宅かによる違いはありません。
日本の木造住宅の場合、寿命は30年と言われています。住宅の寿命を延ばすためには定期点検をしっかり行い、必要に応じて屋根や外壁塗装、防蟻処理、給排水管といった設備の更新やメンテナンスを行うことが重要です。
費用はかかりますが日々のメンテナンスをしっかりしていれば、日本の木造住宅は100年以上住むことも可能です。
注文住宅と建売の価格差は?
住宅支援機構のフラット35利用者調査(2021年度)によると、建売住宅と注文住宅の購入価格の全国平均は、建売住宅が「3,605万円」、注文住宅では「4,455万円」という結果でした。
<地域別注文住宅(土地込)の平均価格>
- 首都圏 ・・・ 5,133万円
- 近畿圏 ・・・ 4,658万円
- 東海圏 ・・・ 4,379万円
- 全国 ・・・ 4,455万円
- その他地域 ・・・ 3,980万円
上記はあくまで平均値なので、住宅の仕様や地域によってかなり乖離が大きくなります。
注文住宅は「価格が高い」というイメージだけで建売住宅を検討している方は、地価の安い地域を探したり、徹底的にローコストを意識してプランを立てれば、
同じような費用、似たような条件で注文住宅が購入できる可能性もあるため、注文住宅を諦めていた方も十分検討の余地はあります。また、外観は建売みたいな注文住宅でも、品質や間取りを比較すれば、内部の雰囲気や住み心地といった生活の質は全く違います。
どうしても都心部に住みたいという事情でもない限り、ぜひ一度は注文住宅を検討&相談、モデルハウスがあれば見学してみてください。
建売住宅の選び方
基本的に建売住宅は万人受けするデザインや間取りになっていおり、事前に内覧もできるため大きな失敗はないと思いますが、実際に毎日生活してみると意外と使いづらい箇所が見つかったり、予想もしなかったストレスが出てくることもあります。
生活動線を意識して無駄がなく使いやすい間取りになっているか、家族が増えたりライフスタイルの変化に対応できるか確認してみましょう。
窓は多い方が、室内に光を取り入れたり風通しを確保できるため快適に過ごせそうですが、多すぎるのも良くありません。防音や断熱効果、耐震性が悪くなったり、配置によるプライバシーの問題、戸締りが大変、セキュリティ面の問題もあります。
また、日当たりも夏と冬ではかなり違うため、季節によってどのように変化するかシミュレーションしておきましょう。
水廻りも一箇所にまとめられている方が配管などが短くなり、後々のメンテナンスや修理費用を安く抑えられます。
施工品質が悪かったり地盤沈下が起きていると、ドアや窓の建付けが悪く(開け閉めしにくい)、歪みで隙間ができたりして、機密性が悪くなり防音性や断熱性も悪くなります。
また立地環境も重要です。建物はDIYしたりリフォームで何とかなるかもしれませんが、立地環境だけは引越ししない限りどうしようもありません。
駅やバス停、スーパー、商業施設、銀行、病院、学校、保育園、幹線道路までの距離、通勤時間帯の周辺道路の混雑状況、街灯の数、治安、近隣の騒音や臭いなどの他、市区町村などが発行しているハザードマップを確認して、地震や浸水被害など自然災害のリスクも確認しておきましょう。
また、資産価値が落ちにくい建売住宅を選ぶためには、立地環境の他、耐震等級や断熱、省エネ性能、劣化対策などの住宅性能も確認しておくといいでしょう。
注文住宅はどこに頼む?
注文住宅はハウスメーカーか工務店などに相談するといいでしょう。大手ハウスメーカーはコストパフォーマンスが悪く、工務店と比較すると平均して1,000万円程度の差が出ていると言われています。
その原因は巨額な広告費や人件費をかけすぎているためです。その上、工務店に比べると設計の自由度も低くなります。
ただし工務店は注文住宅を安く建てられる反面、ハウスメーカーと比較して、住宅性能や品質にバラつきがあったり、保証期間が短い、倒産するかもしれない、といった不安もあります。
弊社、滋賀県高島市にある工務店「株式会社 栄(SAKAE)」は昭和33年より創業、小さなお子様から中高年の方まで安心して暮らせる自然素材「無垢の木」を使った高品質な注文住宅をご提案、多くの実績と信頼を得て喜ばれてきました。
また100年先まで快適に暮らせるよう、10年の無料点検とアフターメンテナンスの他、「住宅瑕疵担保責任保険」最長20年、「シロアリ保証」10年、「地盤保証」20年をお付けし、いつまでもお客様を見守っていけるようサポートしております。
「SAKAE」では、小さなお子様から大人の方まで楽しめるイベントを毎月開催しています。是非一度、滋賀県高島市の「SAKAE」のモデルハウスに遊びにきてください。
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2014年に一級建築士を取得、「株式会社 栄」の代表取締役として主に京都・滋賀にて街づくりに携わっています。
株式会社栄は昭和33年の創業時、大工を数人抱える工務店から始まり、地域の皆様の応援から、現在までに土木・不動産部門を用する総合建築会社として形を変えてきました。
長年培った技術と知識から、暮らしの本質を見極めた空間・デザイン・素材を追求、注文住宅についての役立つ情報をお届けしていきます。