海沿いや海の近く、海の見える家は窓を開けると毎日素晴らしい景色が広がって、ドラマや映画に出てきそうなロケーションで憧れますよね。
海岸沿いまで気軽に歩いていけて、潮の香りや波の音に癒されること間違いなしです。
また新鮮な海の幸が毎日食べられたり、マリンスポーツが好きな人や自然が好きな人、田舎暮らしを味わいたい人にとっても大変魅力的でしょう。
しかし住んでみて初めて分かる「海の近くの家で後悔したこと」もいくつかあるので、海の近くの物件探しや注文住宅を建てる前に、次にご紹介する海の近くの家のデメリットについて確認してみてください。
海の近くの家に住んで後悔したこと、デメリット
塩害
海の近くの家でまず思い浮かぶのが塩害でしょう。海岸線から500m以内を「重塩害地域」、500m~2km以内(※1)を「塩害地域」と言い、鉄製扉やガス給湯器、エアコンの室外機、自転車などは通常の劣化よりもはるかに早く錆びてきます。
(※1・・・塩害地域の定義は地域によって異なり、沖縄・離島では7km超、瀬戸内海沿岸では1km以内、北海道・東北の日本海側では7km以内)
自動車はもともとすぐには錆びないような対策が施されていますが、それでも常に潮風に当たる駐車場に停めていれば痛みが早くなるのは避けられません。
潮風が気持ちいいからといって窓を開けっぱなしにしていると、家の中の電化製品までもが錆びてくるため、家にいながら窓を開けて自然の風を感じることはほとんどありません。
海の近くの住宅では外壁などはガルバリウム鋼板やステンレスといった錆びにくい材料に耐塩性の高い塗装処理が施されますが、もちろん施工費用は高くなる上、定期的なメンテナンスも必要になります。塩が付着することで水分が蒸発して農作物を枯らしたり、土壌の塩分濃度が高くなり根腐れを起こしたりと、塩害は農地にも及びます
強風
海の近くでは海面の摩擦と陸地の摩擦の違いにより、風が強くなります。(海岸気候)
潮風とともに砂も入ってくるため窓は開けっぱなしにできません。窓やドアを開けてなくても隙間から砂が入り込み、家の中が砂でザラザラになり拭き掃除をすると床が傷だらけになります。ベランダも放っておくと砂だらけになります。(飛砂害)
特に台風時は注意が必要です。強風による飛来物などによる窓ガラスの破損被害や高潮による浸水、塩分を含んだ強風により電柱や鉄塔などの送電設備のトラブルも起きるため、停電時の備えも必要です。
湿度が高い
海の近くは湿度が高くなる傾向にあります。塩害と湿度によるカビ対策のため窓を開けっぱなしにすることはなくなります。洗濯物もカラッと乾かず、ベトついてしっとりするという理由から、外に干す人はほとんどいないため、基本的に室内干しか乾燥機で乾かすことになります。
ただし年中湿度に悩まされるわけではなく、季節によっては快晴の日の正午前後はカラッとした乾いた風が吹くこともあり、海からの風向きでない時間帯を見計らえば、前述した塩害や飛砂害をがないように窓を開ることもできます。
津波が心配
日本は地震が多く、海の近くの住宅では津波被害の心配があります。そのため極度の心配性の方は地震の度に恐怖を感じ、夜安心して熟睡できなくなるという人もいるようです。
高台になっていれば少しは安心できますが、風が強く近隣施設やせっかくの海へのアクセスも悪くなります。
避難所や海岸堤防、津波防波堤など津波対策がまだまだ間に合っていないところも多いので、津波ハザードマップなどでいざという時に安全に避難できる場所を確認しておく必要があります。
観光客が多い
海の近くは場所によっては、レジャー客や観光客が多く騒々しかったり大音量の音楽に悩まされたりすることもあります。
周辺道路の渋滞や違法駐車、キレイだった海やビーチも夏の海開きとともにゴミで汚れていくその光景に毎年ストレスを感じる人もいます。
交通アクセスが悪い
中には海の近くの家でも交通アクセスが良い立地もありますが、ほとんどは田舎ではアクセスが悪く、公共交通機関の運行数は極端に少ないため、車がないと生活ができません。ケガや病気で車が運転できない時など不便を感じることもあるでしょう。
水平線が見える滋賀県の広大な琵琶湖はもはや海!
海の近くの家に住むことで後悔する理由やデメリットばかりをご紹介しましたが、それ以上に海に魅力を感じる人であれば大した問題ではないかもしれません。
また海の近くでも地形によっては塩害や湿度といったデメリットの少ないエリアもありますが、海にこだわらないのであれば、滋賀県の広大な琵琶湖の近くに住むことをオススメします。
琵琶湖は県土の約6分の1を占める日本最大の湖で、大きさは周囲が約200kmで車で一周すると約4時間もかかります。もちろん海の近くの家のように、塩害や津波の心配も不要です。
また、湖北は比較的水の透明度も高く、対岸まで20kmもあるため海のような水平線が広がり、もはや穏やかな海と言ってもいいくらいの絶景で快適です。
海のように大きな波がないのでさすがにサーフィンやボディボードはできませんが、ジェットスキーやウェークボード、カヌーといったマリンスポーツなら快適に楽しめるのも魅力。琵琶湖の他にも山や川など自然も豊かでアウトドアも盛んです。
田舎暮らしなら魅力たっぷりの滋賀県へ
滋賀県は県南部を中心に近畿で唯一人口が増加している人気の県です。
人気の理由は、都心へのアクセスが良い他、閑静な住宅街が広がり、大型商業施設や小学校、中学校などの教育施設も数多く点在、治安も良く大変住みやすいということが挙げられ、特に子育て世帯に人気です。
また、平均年齢は45.9歳と全国で4位、15歳未満の年少人口割合も全国で2位と若者が多いのも特徴です。駅の近くは高層マンションが建ち並ぶものの、少し離れるだけで琵琶湖が見える景色と豊かな自然が広がる適度な田舎生活が味わえるのも魅力です。
次に滋賀県の魅力をご紹介します。
田舎過ぎない田舎暮らしが味わえる
適度な田舎暮らしを味わいたいなら湖北エリア、都市に通勤するなら京都や大阪へアクセス抜群の湖南エリアがオススメです。
夏は琵琶湖も場所によっては湖水浴客でそれなりに賑わいますが、海のビーチのような極端な騒がしさはありません。
キレイな湖水浴場があるのは湖北が多く、湖北から車でさらに約40分ほどで敦賀や小浜の日本海に辿り付けるため、海水浴客は海に行く人が多いです。
また、騒音防止のためジェットスキーやプレジャーボート、ウエイクボードなどの禁止エリアも多く、年間を通して穏やかに暮らせます。
湖畔は静かで人も少なく適度な田舎でも、車を5分走らせるとスーパーやコンビニ、大型ショッピングモール、JRの駅や幹線道路などがあるといったロケーションが多くとても便利です。
地価が安く自然災害が少ない
滋賀県は周辺地域と比べて地価が安く、令和5年のデータで、滋賀県全体では平均6万4,416円/m²、一番地価の高い草津市でも平均15万3,287円/m²、アクセスの良い大津市で9万7,753円/m2、守山市で9万6,293円/m2で、地価推移は商業地域では緩やかな上昇傾向です。
(琵琶湖沿いではありませんが一番安いエリアは甲良町では1万0666円/m2。)
また、自然災害も少なく、一部の地域で台風や大雨による河川の氾濫、土石流、斜面崩壊、地すべりなどはあるものの過去10年間の平均年間水害被害額が全国でも最少となっています。
(参考:滋賀県「洪水浸水想定区域」)
(参考:「滋賀県の主な災害」)
地震に関しては、気象庁による「令和2年(2020年)の都道府県別の震度観測回数表」を見てみると、1位の長野県が261回なのに対し、滋賀県は17回でした。
(参考:国土交通省気象庁「令和2年(2020年)の都道府県別の震度観測回数表」)
今後100年以内に震度6弱以上の地震が起きる可能性のある地域が滋賀県南部の一部にある程度のようです。
(出典:地震調査研究推進本部「全国地震動予測地図2020年版」)
ただし、滋賀県では津波の心配は不要と前述しましたが、もし大きな地震(湖西部にある断層「西岸湖底断層系南部」でマグニチュード7.6)が発生した場合、唯一の有人島「沖島」の西岸に4.9メートルの津波が、長浜市沿岸に3メートルの津波が到達するという調査結果を滋賀県が出しています。
また、熊本地震のように地震が発生しにくいと言われていた地域でも大きな地震が発生することはあるので油断は禁物ですが、今後滋賀県で津波が発生するような地震が起きる可能性は極めて低いと言えます。
都心への交通アクセスの良さ
大津駅は、京都駅までJR新快速で乗り換えせずに約9分、大阪駅まで39分とアクセスが良く、周辺は京都や大阪へ通勤する層のベッドタウンとして開発が盛んです。また、滋賀県には新幹線の米原駅があり、京都駅や名古屋駅までを20分で結び、両方面へのアクセスの良さが魅力です。
高速道路では、滋賀県を縦断しながら京都、名古屋方面を結ぶ名神高速道路を始め、京滋バイパス、京都、大阪、神戸を結ぶ新名神高速道路(予定)など、車でのアクセスも便利です。
(出典:「滋賀の3つの魅力」)
無料の地域高規格道路(バイパス)や湖周の駐車場
湖西バイパスは平成17年に、近江大橋も平成25年に既に無料化され、琵琶湖大橋も令和16年に無料化予定です。
無料化された「西大津BP」「湖西道路」「志賀BP」「高島BP・湖北BP」からなる全長約65.8kmの「湖西バイパス」(琵琶湖西縦貫道路)はほとんどの区間で信号機がない高速道路のような構造で、快適な幹線道路です。京都東IC付近の藤尾南ランプから蛭口仮出入口を通り北陸自動車道の木之本ICまで延びています。
また琵琶湖東側の湖周道路は、景色も良く無料駐車場も点在、渋滞も少ないため快適なドライブが楽しめます。
移住支援制度を使って住みやすい滋賀県の田舎へ
滋賀県は移住してくる方へ様々なサポートを行っています。
滋賀県移住就業支援事業
東京23区に在住、または通勤している方(※1)が滋賀県に移住し「ふるさと求人」企業に就職した場合、移住支援金が貰えます。
(※1・・・詳細な対象要件は滋賀県の「滋賀県移住就業支援事業」で確認して下さい。)
「ふるさと求人」は「WORKしが」で「移住支援金」の対象にチェックをして検索できます。支援金の額は、2人以上の世帯の場合で100万円、単身者の場合は60万円です。
滋賀県長浜市の定住住宅改修促進事業
長浜市には、45歳未満の人が定住するために購入した中古住宅や親族の所有する住宅の改修費用の一部を支援する助成金制度があります。
(※2024年2月29日までに完了する工事が対象)
長浜市内の助成対象住宅に定住する世帯年収が1,200万円以内の方が対象です。
(その他の詳細な条件は長浜市のHP「長浜市定住住宅改修促進事業助成金」をご確認ください。)
助成額は助成対象工事にかかる経費の10%です。(上限20万円)
18歳未満の扶養家族がいる子育て世帯にはプラス3.5%(上限40万円)、さらに65歳以上の家族と同居される世帯にもプラス3.5%(上限40万円)が加算されます。
しがIJU(いじゅう)応援カード
滋賀県への移住に興味のある県外在住の方を対象とした「しがIJU応援カード会員」制度では、移住に役立つ情報を定期的に提供されたり、引越し業者やレンタカー代、ホテル宿泊料金、不動産業者の工事費などの割引き、住宅ローンの金利引下げなど、移住前、移住後に使える各種割引サービスが利用できます。
(詳しくは「移住ポータルサイト「滋賀ぐらし」)をご確認ください。)
滋賀県高島市の移住に使える補助金制度や手厚い子育て支援制度
琵琶湖西部に位置する県内最大の面積を有する高島市は、72%が森林で琵琶湖の1/3の水を生み出している自然豊かな地域で、田舎暮らしをしたい方におすすめです。
田舎と言っても、JR湖西線の駅周辺や市街地ではスーパーや薬局、家電量販店など、生活に必要な施設も揃い、基幹病院の「高島市民病院」をはじめ、外科、内科、小児科、眼科などの診療所が各地に点在し、医療体制も充実しています。
そんな生活に不便がなく適度に田舎が味わえる高島市には移住を希望する方への様々な支援制度があります。
定住住宅リフォーム補助
高島市へ移住しようとしている方、もしくは移住後3年未満の方を対象に、定住するために購入した中古住宅のリフォーム費用の「1/8~1/4」までが補助されます。
市内の賃貸などに居住している方や市内の実家に定住しようとしている方も対象の補助金です。
(詳しい要件や条件ごとの補助額の詳細については高島市のHP「若者の住宅確保の支援制度」をご確認ください。)
高島市移住定住応援住宅ローンで金利優遇
高島市への移住定住者を応援するため、関西みらい銀行が「滋賀県高島市移住定住応援住宅ローン」の取り扱いを開始しました。
市内の新築・中古住宅の購入資金やリフォーム資金に使える住宅ローンの金利を基準金利から年1.95%優遇します。
高島市内の住宅を購入・リフォームする方で、関西みらい銀行の住宅ローン返済口座に給与振込を指定するなどの条件があります。
(条件など詳しくは高島市のHP「関西みらい銀行による「高島市移住定住応援住宅ローン」の取り扱いを開始!」をご確認ください。)
児童手当て
高島市に住民登録をし、0歳から中学校修了までの児童を対象に、月額10,000円~15,000円が支給されます。(※所得制限世帯は5,000円)
(詳しくは高島市のHP「児童手当」のページをご確認ください。)
在宅育児支援事業
日中、幼児を家庭で子育てする世帯に対して、在宅育児支援事業給付金が支給されます。
対象は高島市に住民登録のある1~2歳の保育園に入園するまでの児童で、支給額は一児童あたり月額30,000円です。
(詳しくは高島市のHP「高島市在宅育児支援事業」のページをご確認ください。)
一人親家庭の児童扶養手当
離婚や事故などによって一人親となった家庭や父母どちらかに障害のある、18歳になるまでの児童がいる家庭には、扶養手当が支給されます。
支給額は月額10,410円~44,130円で、第二子目は月額5,210円~10,410円が加算、第三子からは月額3,130円~6,240円が加算されます。
ただし前年の所得が一定以上の人は所得制限があります。
(詳しくは高島市のHP「児童扶養手当(ひとり親家庭のみなさまへ)」をご確認ください。)
児童の医療費や保育料が完全無償化
高島市では保育料や中学校卒業までの医療費を完全無償化しています。
県外の医療機関で受診した場合も、申請すれば後日全額払い戻しされます。
小中学生の学校給食費の無償化
高島市では令和3年4月から小中学校の給食費が無償化し、地域で採れた野菜を使った安全安心な給食が提供されています。
高島市外の小中学校に通う無償化の対象にならない児童へは、別途補助金が交付されます。
(詳しくは高島市HPの「令和3年4月から小中学生の学校給食費の無償化開始!」をご確認ください。)
就農支援や起業支援、就職支援も充実
高島市では移住者のための就職支援として「厚生労働省地方公共団体無料職業紹介事業」を行っています。
その他、「しが新事業応援ファンド助成金」や「インキュベータ事業」ほか、様々な起業・創業、販路拡大、経営革新などの起業支援や新規就農される人には農業を始めてから経営が安定するまで最長5年間、年間最大150万円が支給される就農支援制度などもあります。
(詳しくは高島市HP「高島で暮らそう」の「高島へ移住され、お仕事を探されている方の就職をサポートします。」をご確認ください。)
おためし暮らし(2024年3月31日まで)
JR西日本との共同プロジェクトで高島市、甲賀市の住宅に2024年3月31日までのご希望の期間、エリアで助成された格安の賃料でお試し暮らしが体験できます。
お試し暮らし期間中は同居する家族全員(※通学費は対象外)に対し、JR京都線、神戸線の各駅、京都市・大阪市・神戸市内のJRの普通運賃、特急料金の40%の通勤費を支援するサービスも利用できます。
また、期間終了後も継続して住める物件もあります。
(詳しくはJR西日本の「おためし暮らし」HPをご確認ください。)
2014年に一級建築士を取得、「株式会社 栄」の代表取締役として主に京都・滋賀にて街づくりに携わっています。
株式会社栄は昭和33年の創業時、大工を数人抱える工務店から始まり、地域の皆様の応援から、現在までに土木・不動産部門を用する総合建築会社として形を変えてきました。
長年培った技術と知識から、暮らしの本質を見極めた空間・デザイン・素材を追求、注文住宅についての役立つ情報をお届けしていきます。