散り
2021.10.20
散り
建築の中で、かかすことができない納まりの一種。
壁と柱や、扉の枠(縁)と壁がぶつかる取合いにできる
ちいさな段差のこと。
わずかに壁より飛び出たところの寸法に関してよく話がされる。
住宅の設計をしているとそういうところがよくある。
普段気にすることはないかもしれないけど、
ミリ単位で変わるその「散り」によって、
空間の美しさがより引き締まって見える。
散りは、建物によってバラバラであることが多く
なるべく散りを作らず、シャープに軽快な感じに仕上げることもあれば、
大きく散りを設けることで、重厚感を生み出すこともできる
ぼくが好きなのは、12㎜
とにもかくにも、12㎜
それと、その半分の6㎜
これも、ちょこちょこ使う
この寸法感が、ぼくは好きで、見ていると何故かうっとりしてしまう。
これが15㎜になってしまうと、ちょっとゴツゴツしい感じが生まれる。
本当に不思議だ。
かといって、
散りが無いのも、そんなに好きではない。
人間技で、0㎜というのは、とても難しいので、
少なからずズレが、見えてしまう。
だから、0㎜は、あまりおすすめしない。
もっと、細部の美しさを際立たせられることができればなと思う。
こういうミリ単位のことは、こちら側に一任されることが大半なので、
いわば、散りは、設計者が、自分の個性を主張できる場でもある。
なので、ぼくの想い描く、美しい散りをこれからももっともっと作ってい
けるように
日々の努力を重ねよう
住むほどに想いがつのる家を夢にみながら
Uemura